top of page

船の樹とは

更新日:2020年9月15日

はじめに・ご挨拶


「船の樹プロジェクト」のプロジェクトリーダー、日本画家の笹本正明です。 1966年東京都生まれです。 ご縁があって19年前、山梨県牧丘町(現山梨市)に移住し、現在は山梨県中央市在住、この地に根をおろし、創作活動を続けています。



ここをご覧になっている 方は、私がどんな画家なのか、ご存じない方が多いかもしれません。


私はこんな作品を制作しています。


笹本正明公式ウェブサイト







船の樹プロジェクトとは?

人の想い・文化・歴史が交差する前例の無いアートプロジェクト。 「船の樹プロジェクト」は、武田信玄公生誕500年、450回忌記念事業です。




乗船希望される方の肖像画を、日本画家、笹本正明はじめ山梨県内外のアーティストが、2.1×5.4mの壁画『船の樹』に描き込み、完成した壁画は信玄公の菩提寺、甲州市塩山の恵林寺に奉納され、永く後世に残されます。

一口1万円の乗船券を求めいただければ、どなたでも「乗船」することが出来ます。ご家族同様の動物の肖像も描き込みます。動物は一口3千円です。

乗船される方は御存命の方だけでなく、御他界された方でも、ご家族のお申し込みがあれば肖像画を描き込みいたします。

アートの力で時空を超えてゆく、このプロジェクトに、是非ご参加ください。





このプロジェクトはどのようにして始まったのか

2019年8月からスタートした、この前例を見ないプロジェクトがどのようにして生まれたのか、少々長くなりますが、私の個人的な体験から、まずお話しいたします。

東京に生まれ、東京芸大日本画科を卒業し、東京で日本画の制作活動をしていた私は、より広いアトリエを求めて19年前に山梨県牧丘町(現山梨市)に移住しました。のどかなぶどう畑の中にぽつんと建っていた空家を借り、そこを住居兼アトリエとして、新たな制作活動をはじめました。

当時独身だった私は一日中絵を描くことに没頭し、それまで描けなかったモチーフや、大作を手掛けることが出来るようになりました。



しかし、誰とも会わずに、終日制作に打ち込んだことが原因で、3年目から、次第に心の変調がおとずれました。人里離れた一軒家で暮らしていたことが、逆に仇となり、精神的な袋小路に追い込まれてゆきました。孤独の中で自分を追い込み創作活動に打ち込むことは、時として精神的な危機を招く———「ゴッホの精神が病んだのはこういうことだったのか」と我が身で体感しました。

私がそこから精神を立て直すことができたのは、アトリエのすぐ近くの武田信玄公の菩提寺、恵林寺に通いだしてからです。

恵林寺に勤めていた古くからの知人に「寺に来たらどうか」と誘われました。駸々と冷え込む早朝、まだ暗い本堂の中に座り、読経をはじめた瞬間、何故か、たちまち心が晴れ晴れとしてゆくのを感じました。

それはとても不思議な体験でした。

<早朝の恵林寺>


それから3年ほど恵林寺に通い、当時の住職、南條大亨老師(2017年に遷化)と懇意にさせていただき、言葉にできない精神の糧を、数年の間に、数多く頂きました。それは私の現在の創作活動のみならず、人生にも深い影響を与えています。

現在も恵林寺との御縁は続いており、現住職の古川周賢老師と「現代における寺の役割、寺にあるべき絵画の在り方」についてお話する機会がありました。古川老師とのお話が呼び水となり、南條老師のもとで形にできなかったものが、次第に私の中で、こんな構想に結実してゆきました。


私の個人的な体験から生まれた想いを「船の樹」という作品にすれば、それは宗派や思想、国籍をも乗り越えて、多くの人に通ずる普遍的な「救い」の象徴となるのではないか。———





現代の”救いの神話”———『船の樹』

「船の樹」は成長するにつれ、樹冠が船の形になってゆく不思議な樹。地上に大きな災いがおとずれるとき、船は幹から切り離され天空に舞い上がり、船に乗った人々はことごとく救われるという。———


<2016年制作 『船の樹』 作/笹本正明>


<2020年制作 絵本『船の樹』より>



「大乗仏教」という言葉があり、仏教は大きな乗り物にたとえられています。この乗り物に乗った人々は、あらゆる災い、苦しみからことごとく救われるというのです。


私はこれを「船の樹」という物語にして、三部構成とし、しかもこの作品の中に、実際に生活している人たちを描き込んでみよう、そしてこれを恵林寺という由緒あるお寺に奉納し、後世まで残そう、と思いたちました。描き込まれた人々の姿は、作品とともに後世まで残されます。


この構想を恵林寺住職、古川周賢老師にお話したところ、「現代人や、仏教と縁のない人にも、仏教の根幹をわかりやすく語り伝える作品になる。お寺に縁遠くなった人がお寺を訪れるきっかけにもなるだろう。2021年は武田信玄公の生誕500年、2022年は450回忌。これにあわせて、ぜひやろう!」という快諾を得て、このプロジェクトは2019年8月から始動しました。


現在、『船の樹』三部作は、原寸大(縦2m10㎝×横5m40㎝)の大下図の制作が進行中です。



<制作中の『船の樹』三部作>





船の樹プロジェクトの意義

———この作品の本当の価値が出てくるのは完成から百年経ってから、と私たちプロジェクトチームは考えています。その頃には絵の中のほとんどの方が他界されていることでしょう。けれど、子孫の方々がお寺を訪れ、この絵を前にしたとき、そこに生き続けている先祖の姿に出逢うことでしょう。「過去の人」も「現在の人」も、同じ空間の中で生き続けるのです。

武田信玄公の菩提寺である恵林寺に奉納する壁画ですので、信玄公と家臣二十四将の御姿も描き入れます。歴史に名高い武田信玄公と現代の人々が絵の中で一緒になり、その絵姿は未来へと残されてゆきます。


<信玄公と二十四将>


このプロジェクトは、広く一般から制作資金を集め、人々の想いを乗せ、後世に残るモニュメントを作ることを目的としています。これは、奈良の大仏建立に比肩する歴史に残るプロジェクトだと、私たちプロジェクトチームは確信しています。


閲覧数:39回0件のコメント
bottom of page